2025年7月に実施された東京都議会議員選挙（都議選2025）では、都民ファーストの会・自民党・参政党など、主要政党の戦略と結果に注目が集まりました。開票速報によって明らかになった勢力分布の変化は、都政だけでなく国政にも波及するインパクトを持っています。
本記事では、都議選で存在感を見せた主要6政党――都民ファーストの会・自民党・参政党・公明党・共産党・国民民主党――の獲得議席・得票傾向・主な政策・今後の展望を網羅的に比較。各政党が都民からどう評価され、どの層に刺さったのかをわかりやすく解説していきます。
都民ファーストの会｜支持基盤を維持しつつ政策重視の選挙戦略で健闘
2025年の都議選でも都民ファーストの会は都政与党としての地位を保ち、全体で34議席（前回比 -2）を獲得しました。注目されていた世田谷区・江東区・練馬区などの激戦区でも競り勝ち、特に高橋たくみ候補（江東区）は大差での当選となりました。
今回の選挙では、「子育て支援・教育無償化」「医療と介護の地域連携」など、具体的な生活政策にフォーカスしたアピールが奏功しました。また、小池百合子知事との連携アピールも功を奏し、都知事選との“前哨戦”という色合いを強めました。
他党との比較では、自民党がやや盛り返したものの、都政運営における経験値や現職議員の地盤を活かし、政党単独としての都政与党地位を維持。公明党との連携も続く見込みです。
一方で、若年層の支持離れや、都政の停滞感に対する批判票も見られ、今後の課題としてはイメージ刷新と地方連携強化が挙げられます。
- 得票傾向：30〜50代の女性層に強い
- 課題：若年層との接点・ネット戦略の薄さ
- 強み：実績・現職議員の多さ・小池都政との連携
自民党｜都議選2025で議席回復も“都市部の壁”は依然存在
自民党は今回の東京都議会議員選挙2025で40議席（前回比 +3）を獲得し、一定の回復基調を見せました。特に郊外エリア（多摩地域など）では保守系有権者の支持を再び集めつつあります。
しかし、新宿区・世田谷区・杉並区・目黒区といった都市部の中心区では、引き続き都民ファーストの会や無所属候補との接戦が続き、一部では参政党や国民民主などに票を奪われる場面も。
党本部と都連の温度差も課題となり、候補者の選定や広報活動において統一感を欠いた印象を残しました。特に若者層の投票行動においては、SNS・YouTubeで発信を強めた新興勢力に押される形となりました。
とはいえ、地盤の強固さや、長年にわたる地域活動・支援団体の存在により、組織力で一定の結果を維持したとも言えます。次回の都知事選や参院選に向けて、都市戦略の再構築が急務となります。
- 得票傾向：中高年層・郊外住民に強い
- 課題：都市部・若年層の支持獲得
- 強み：組織票・政党基盤・保守層の信頼
参政党｜SNS戦略と現場感ある主張で初の都議会議席獲得
参政党は2025年の東京都議会議員選挙で初めて都議会に進出し、7議席を獲得。SNSや街頭演説での訴求力を武器に、既存政党に対する「不信・飽き」層の票を集めました。
注目候補である神谷宗幣氏をはじめ、複数の候補がYouTubeやX（旧Twitter）で直接発信し、若年層・子育て世代を中心に浸透。都議選では珍しく、ネットの“バズ”が票につながる例となりました。
主な政策テーマは、教育改革・医療の透明性・国の主権保全など。「わかりやすく生活に根ざした訴え」が無党派層にも支持されました。特に江東区、練馬区、多摩地域などで支持の広がりを見せています。
一方で、過激な主張や陰謀論的なイメージが批判を呼ぶ場面もあり、メディアや識者層からの警戒感も強いのが実情。都議会内での他党との協調・政策実行力が今後の課題といえます。
- 得票傾向：30〜50代男性・子育て層・無党派層
- 課題：過激イメージの払拭と実務力の証明
- 強み：SNS戦略・直接訴求・共感を生む言葉
公明党｜確実な地盤と支持母体の結束で全選挙区で当選を果たす
公明党は2025年の東京都議会議員選挙において、前回と同じ22議席を確保。選挙区ごとの立候補者数を絞った“全員当選戦略”が功を奏し、今期も安定した勢力を保ちました。
支持母体である創価学会との連携や、地域に根付いた支持活動が確実に効果を上げており、各選挙区では盤石な組織力を誇示。特に足立区、江戸川区、大田区などで確実に議席を確保しました。
また、今回の選挙戦では「子育て支援」「介護・医療制度の充実」を主軸に据え、生活密着型の政策アピールを展開。国政レベルでも自民党との連携が安定しているため、有権者に「安心して任せられる政党」という印象を与え続けています。
ただし、新興勢力の台頭や若者層の無関心に対する対応策は今後の課題。特にSNSを通じた広報の強化が急務です。
- 得票傾向：高齢者・主婦層・地域団体との結びつき
- 課題：SNS対応・若年層への浸透
- 強み：組織票・地域密着活動・実務への信頼
共産党｜生活者目線の政策で都心部を中心に支持も、議席数は減少
日本共産党は2025年の都議選で11議席（前回比 -1）を獲得。杉並区・中野区・新宿区など、都心部では一定の支持を維持しましたが、全体としては議席を減らす結果となりました。
今回の選挙でも物価高騰への生活支援政策、教育の無償化、ジェンダー平等といった“生活者目線”の政策が主軸。ただ、若年層や無党派層の取り込みには苦戦し、参政党や国民民主党に票を奪われた側面もあります。
街頭演説では高齢支持者を中心に一定の盛り上がりを見せましたが、「政権批判中心の姿勢」が一部有権者にとって“ネガティブ”に映ったとの指摘もあります。
また、野党共闘の不調により、他党との票の融通や戦略的連携が難航。結果的に、候補を立てすぎた選挙区では票が割れてしまう場面も見られました。
- 得票傾向：60代以上・福祉関係・女性層
- 課題：若年層との接点・ポジティブな訴求力
- 強み：福祉政策の信頼感・組織的活動力
国民民主党｜若者と働き世代に浸透し、都議会で存在感を拡大
国民民主党は2025年の東京都議会議員選挙で5議席（前回比 +2）と、着実な躍進を果たしました。特に都市部の20〜40代の働き世代を中心に、“現実的で実務的”な政策が支持を集めました。
政策面では、「給料が上がる経済政策」「教育現場の改善」「エネルギー政策の見直し」などを前面に出し、他党のようなイデオロギー色を薄めたスタンスが評価された形です。
候補者の多くが民間出身や子育て世代であり、演説やSNSでも「生活実感」を重視した訴えが見られました。世田谷区・練馬区などでは、共産党・立憲民主と競合しつつも独自票を積み重ねての当選が目立ちました。
今後の課題としては、候補者の知名度不足や党としてのブランディングの弱さが挙げられます。ただ、今回の結果は“第3の選択肢”として国民民主が都政で一定の役割を果たし得る可能性を示しています。
- 得票傾向：共働き世帯・子育て層・都市部若年層
- 課題：知名度拡大・組織力の強化
- 強み：現実的政策・無党派層への共感
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