愛知県のマルチ商法業者「STONES」への潜入を記録した、詐欺撲滅系YouTuber「新宿109」KENZOさんの動画。その中で繰り返し使われていたのが、「これは副業じゃないから、副業禁止の会社に勤めていても問題ない」というトークです。
相談者の男性が「自分は副業が禁止されている」と伝えると、勧誘してきた説明役の男性はこう返答していました。
「一応副業にはならないよ。公務員でもやってるくらいだから、副業禁止でも全然できる」
さらに「消防士でも会員としてやっている人がいる」「収入を得て会社をクビになったり、バレたりする恐れは全くない」とも説明していました。この記事では、動画で記録されたこのやり取りをもとに、「副業ではない」という説明が実際のところどこまで正しいのかを検証します。





「副業禁止」を切り崩す定番トーク
なぜ「副業ではない」と説明されるのか
説明役が用いていたロジックは、「労働収入」と「権利収入」を対比させるというものです。
- 労働収入:仕事やアルバイトのように、時間と体を使って対価を得るもの。辞めれば収入は0になる
- 権利収入:一度作った収入が継続的に、かつ積み上がって入ってくるもの
この分類を使い、「ネットワークビジネスで得るのは権利収入であり、労働収入ではないから副業に該当しない」という主張を展開していました。
この主張の問題点
しかし、この説明には大きな問題があります。
まず、ネットワークビジネスの会員は一般的に個人事業主として扱われます。会員として収入を得た場合、翌年の住民税や社会保険料に反映される可能性があり、それによって勤務先に副業が発覚するケースは十分にあり得ます。
動画内でKENZOさんは、自身が会社員時代にYouTube活動を副業とみなされ、退職に至った経験を明かしています。その経験を踏まえ、「ネットワークビジネスの収入も一般的に副業扱いになる」との見解を示していました。
つまり、「権利収入だから副業ではない」という説明自体が、法律や税制の仕組みを正確に反映していない可能性が高いのです。
「ポイ活」という言い換えにも注意
この団体では、勧誘の際に「ポイ活」という言葉も使われていました。実際に説明されていた内容は、商品や活動を人に勧めることで収入(特定利益)を得る仕組みであり、一般的にイメージされる「ポイントを貯めてお得に買い物する」ポイ活とは大きく異なります。
こうした言い換えは、消費者に実態を誤認させる可能性がある表現として問題視されています。
「バレない」という説明の仕組み上の弱点
会社に副業が発覚する主な経路のひとつが、住民税の「特別徴収」です。給与所得者の住民税は、通常、勤務先が本人の給与から天引きして納付する仕組み(特別徴収)になっています。副業で所得が増えると、翌年の住民税額もその分増加し、勤務先の給与担当者が「給与の割に住民税が高い」ことに気づき、副業が発覚するケースがあります。
この仕組みは、収入が「権利収入」であるか「労働収入」であるかに関係なく、所得として計上されれば同じように影響します。つまり、説明役が話していた「権利収入だから会社にバレない」という理屈は、税制上の仕組みとは合致していません。確定申告の際に住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に切り替えることで発覚を防げるケースもありますが、これは会社にバレる/バレないの話であって、「副業に該当するかどうか」とは別の問題です。
ほかにも使われていた「言い換え」トーク
動画内では、収入や仕組みを説明する際に、印象を和らげる言い換えがいくつも使われていました。
| 実際の説明 | 一般的な言い方 |
|---|---|
| 権利的な収入 | マルチ商法の紹介報酬(特定利益) |
| ポイ活 | 会員勧誘・商品販売による収入 |
| 口コミ | 新規会員の勧誘 |
| NB(ネットワークビジネス) | 連鎖販売取引(マルチ商法) |
| 繋がり | 会員同士のコミュニティ・イベント |
これらの言葉自体に違法性があるわけではありませんが、実態(マルチ商法・連鎖販売取引であること)を先に伝えず、耳障りのよい言葉から説明を始める点が、特定商取引法が求める「事前の告知義務」との関係で問題視されるポイントです。
よくある質問
Q. 本当に「権利収入」というものは存在しないの?
A. 印税、不動産の賃貸収入、配当金など、労働時間に比例しない収入自体は実在します。ただし、マルチ商法における紹介報酬は、新規会員を勧誘し続けなければ収入が先細りする性質を持つことが多く、株式配当や印税のような「完全に不労」の収入とは仕組みが異なります。
Q. 副業がバレたらどうなる?
A. 就業規則違反として、注意や懲戒処分の対象になる可能性があります。動画内でKENZOさんは、自身が会社員時代にYouTube活動を副業とみなされ、退職に至った経験を明かしています。就業規則の内容は会社によって異なるため、まずは自社の規定を確認することが重要です。
Q. 「公務員や消防士でもやっている」という説明は本当?
A. 動画内での発言として記録されているのみで、事実関係は確認されていません。仮に事実だとしても、公務員は国家公務員法・地方公務員法で原則として営利目的の副業が禁止されており、発覚すれば懲戒処分の対象になり得ます。「ほかの人もやっているから大丈夫」という説明を鵜呑みにするのは危険です。
まとめ











コメント